2026年2月3日 更新

そりゃ悪手だろ

Written By 甲斐慶彦 マーケター

そりゃ悪手だろ

先日、従姉妹からこんな話を聞きました。

マンガアプリを見ていたら、
エステの広告が流れてきたそうです。

「初回体験プラン」がかなりお得だったので、
軽い気持ちで予約したとのこと。

当日、お店に行くと。。。

施術が始まる前に、
30〜40分ほど高額プラン(30〜50万)の
説明・売り込みを受けたそう。

従姉妹はキッパリ断って、
広告でアピールされてた
体験プランだけ受けて帰ってきました。

でも、彼女が持った
このエステ店への印象は最悪でした。

やんわり断ってるのに
しつこく何度も説明を受け、
こちらがキッパリ断るまで
ダラダラ説明・売り込みをやめなかったようです。

「もう絶対行かない」

。。。そりゃそうなりますよね。

入り口商品の考え方自体は正しい

誤解のないように言っておくと、
このエステ店が実施している取り組み…
「お得な体験プラン」で新規客を集めること自体は、
マーケティングとして正しい判断です。

広告費をかけて見込み客を集め、
まずは低価格で体験してもらう。

いわゆる「フロントエンド商品」という考え方ですね。

問題は、その後の対応です。

新規客にすべきは「売り込み」ではなく「信頼獲得」

初めて来てくれたお客様に対して、
いきなり高額商品を売り込む。

広告費を早く回収したい気持ちは
すっごくわかります。
マネタイズしなきゃ…っていう焦りもわかります。

でも、これをやってしまうと、
そのお客様が生涯にわたってもたらしてくれるはずだった価値、
いわゆるLTV(顧客生涯価値)をすべて失うことになります。

従姉妹のように
「もう絶対行かない」と思われたら、
それで終わりですから。。。

「満足させれば勝手にリピートする」も過度な期待

では、売り込みをせずに
良いサービスを提供すればいいのか。

これも半分正解で、半分はマチガイ。

確かに、初回で満足してもらうことは大切です。

でも、
「満足したお客様は勝手にリピートしてくれる」
というのは、ちょっと期待しすぎなんですね。

なぜか。

人は忘れるから。

どんなに良いサービスを受けても、
日常に戻れば、あっという間に記憶は薄れていきます。

だからこそ、
こちらから「思い出してもらう」仕組みが必要になります。

フォローの仕組みが収益を変える

ここで重要になるのが、
「フォローの仕組み」です。

定期的にお客様と接点を持つ仕組みを作ること。

頻度の目安は、週1回か、
少なくとも2週に1回。
月1回では少なすぎます。

内容も大切です。

単なる「お元気ですか?」という気遣いだけでなく、
「また来る価値」を伝えることがポイントになります。

「このタイミング、周期を継続していると
 半年後の肌年齢・肌の質感は
 全然変わってきますよ」とか。

これによって、お客様の中に
「また行ってもいいかな」という気持ちが生まれます。

売り込みではなく、
価値を届け続けることで信頼が積み重なり、
自然とリピートにつながっていく。

これは「最初の好印象」と
「フォローの仕組み」があってこそ。

この流れを作ることが、
新規客を「生涯のお客様」に変える鍵なんです。

広告費を減らして売上が増えた事例

実際、私が支援した企業でこんな結果が出ています。

フォロー体制を構築したところ、
年間の広告費を400万円ほど削減しながら、
年間売上は約2,000万円増加しました。

広告を減らしたのに売上が増えた。

一見矛盾しているようですが、理屈は単純です。

新規客を「追いかける」のをやめて、
来てくれたお客様との関係を「育てる」ことに投資した。

それだけなんですね。

広告代理店を儲けさせるループから抜け出す

多くの企業が陥っているのが、
「広告費をかける
→ 新規客が来る
→ リピートしない
→ また広告費をかける」
というループです。

これ、
誰が一番儲かっているかというと、
広告代理店なんですよね。。。

企業側は広告費を払い続け、
でも顧客は定着しない。

穴の開いたバケツに
水を注ぎ続けているようなものです。

フォロー体制の構築にかかるコストは、
実は広告費の5分の1、いや10分の1程度。

その投資で、
バケツの穴をふさげるはずなんです。

なのに、多くの企業が
広告費だけかけてフォローの仕組みを持っていません。

冒頭のエステサロンも、
おそらく広告費はかなりかけているはずです。

でも、その投資が
「もう絶対行かない」という結果を生んでいる。。。

すごくもったいないですよね。

あなたの会社では、どうでしょうか

新規客を集める仕組みはあるけれど、
その後のフォローはどうなっているでしょうか。

広告費は毎月かけているのに、
リピート率が上がらないと感じていませんか。

もしそうなら、
まずは週1回、お客様に連絡する方法を考えてみてください。

広告を増やすより、
ずっと確実に状況は変わり始めるはずです。

この記事のまとめ

エステ店の初回体験プランで新規客を獲得後、高額プランの売り込みを行うのは逆効果。新規客には売り込みではなく信頼獲得が重要。満足だけでは不十分で、週1〜2週に1回の定期フォローにより「また来る価値」を伝える仕組みが必要。フォロー体制構築により広告費削減と売上増加を両立可能。新規獲得より既存客との関係育成に投資することで、LTV向上とリピート率改善を実現できる。

よくある質問

フロントエンド商品とは、新規客を獲得するために低価格で提供する商品やサービスのことです。お得な体験プランや初回限定価格などがこれにあたり、まずは気軽に試してもらうことで顧客との接点を作り、その後の信頼関係構築につなげる役割があります。
LTV(顧客生涯価値)とは、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値の総額のことです。初回の売上だけでなく、リピート購入や長期的な関係から得られる収益を含めた概念で、顧客との長期的な関係を重視する経営において重要な指標となります。
新規客へのフォローは週1回、少なくとも2週に1回の頻度で行うのが効果的です。月1回では頻度が少なすぎて、お客様に忘れられてしまう可能性があります。定期的な接触により、サービスの価値を思い出してもらい、自然なリピートにつなげることができます。
単なる安否確認ではなく、「また来る価値」を伝える内容が効果的です。例えば、継続することで得られるメリットや成果を具体的に伝えることで、お客様の中に「また行ってもいいかな」という気持ちを生み出すことができます。売り込みではなく、価値提供を意識した内容にすることが重要です。
はい、可能です。新規客獲得にばかり投資するのではなく、既存客との関係を育てるフォロー体制に投資することで実現できます。フォロー体制の構築コストは広告費の5分の1から10分の1程度で、リピート率向上により長期的な収益増加が期待できます。